期間限定
※注意!
鬼円両想い悲恋です。
成長注意です。
鬼道も円堂も幸せじゃありません。
苦手な方はご注意下さい。
(どうしたら、幸せになれるんだろうか)
馬鹿だな、俺は。
そんな事を思ったら、まるで今が不幸みたいじゃないか。
違う、そうじゃない。
幸せだ、俺は。
昔より、ずっと、ずっと。
鬼道家に引き取られて、厳しいが本当は優しい義父がいて、仲間とサッカーが出来て、大切な妹とまた笑い合えてる。
将来への不満も不安も無い。
俺は鬼道有人として生きていく事を誇りに思う。
(不満なんて、ないはずだ…)
仮に今俺が感じている感情が不満なのだとしたらきっと、これは思春期特有の心の迷いというやつで、そしてそれはあいつも同じなんだろう。
(そもそも最初から、お互い納得した上での…期限付きの恋じゃないか)
例えもう直ぐ終わりが来るとしても、何も、なにも…
不満なんて、ないはずなんだ。
「もうすぐ卒業だなぁ」
「ああ」
高校三年の12月。
俺達はお互いの進路を決めて、あとは卒業を待つだけの身だった。
俺は高校と同じく、帝国の大学に進むし、円堂はプロのサッカー選手になることが決まった。
元々俺は大学からは本格的に鬼道グループでの仕事を手伝う事になっており、サッカーは高校までで終わりにするつもりだった。
円堂もプロになれなければ就職すると言っていた。
そうして全部が、俺達の考えた予定通りに進んでいた。
「…鬼道とこうしていられるのも、あと少しかぁ」
ぽつりと呟いた円堂は、後ろから抱えられるように俺の腕の中にいた。
俺は円堂の肩に顎を乗せるようにして、二人で録画したサッカー番組を見てる。
18歳にもなった図体のでかい(と言っても俺も円堂もそこまで馬鹿でかくもないが)男二人がする体勢としては、見る人をぎょっとさせる類のものだろう。
「…そうだな」
俺は無意識に円堂の腹に回した腕に小さく力を込めていた。
(駄目だ、手を、離せ)
できる限り、この話をする時はいつも以上の平常心を保っていたかった。
「あ!でもさ、別に絶交するわけでもないんだし、また会ったら皆でサッカーしたりさ、そういうのは良いよな!」
そんな俺に気付いているのかいないのか、円堂は少しだけ困ったように笑った。
「またサッカーか」
気にしていない振りを努めて、俺が呆れたように聞き返せば、円堂は不満そうに唇を尖らせた。
「だって他に何すんだよ」
確かに、それは円堂の言う通りだった。
仲間、友達という関係に戻ってしまう俺達の間にある共通点は、やはりサッカーしかなく、それ以上は無いような気がした。
「フッ…それもそうだな」
俺が小さく頷けば、円堂は「だろ!?」と勝ち誇ったように笑った。
(ああ、どれだけ一緒にいても、こいつの眩しさは変わらない)
俺は微かに目を眇めた。
(そんな円堂を曇らせるのは…)
一瞬過ぎったのは、先程の円堂の苦笑だった。
(円堂を不幸にするのは、紛れも無い…俺自身)
それは酷く胸を苦しくさせると同時に、醜い優越感を俺に与える。
(…最低だな)
他の友人達や、もちろん身内にも内緒だったが、俺と円堂は高校一年の春から付き合っていた。
雷門中を卒業後、俺は帝国の高校へ進み、円堂は雷門の高校へ進学した。
部活で組むチームは離れたが、日本代表としてまたチームを組んだりと、高校でも俺と円堂はずっと一緒にサッカーをしてきたから、距離感はあまり変わらなかった。
そんな俺達が付き合う事になり、付き合う上での最初の約束が『付き合うのは高校三年間限定』である。
理由は至極簡単で、俺がいずれ鬼道家を継ぎ、おそらくは義父が決めた然るべき女性との結婚が待っているから、だった。
続
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言い訳
鬼円妄想した時…どうしても真っ先に浮かんでしまうネタでした。
それがイナイレ4のネタを受けて爆発しましたすみません←
幸せに、なって欲しいんですが、このシリーズでは難しいです…。
ここまで読んで下さってありがとうございました!