溢れる温度



>※注意!
相も変わらず同棲中不円。
遅刻のクリスマスネタ←
不動の捏造が酷いです。

苦手な方はご注意下さい。


















































クリスマスとか、正月とか、バレンタインとか…日本人は馬鹿みたいに祭好きでとりあえず恋愛と絡めることに情熱を傾け過ぎじゃねーかと思う。
そんな冬季行事に毎年「バッカじゃねーの」と唾を吐いていたのは決してひがみややっかみからではない。
心底…本当に心から、それらを下らないと思っていた。

「不動!」
上機嫌に呼ばれる名前にイラつきを覚えなくなったのが一体いつからだったか…もう覚えていないくらいには長い長い無自覚の片想いを経て、現在同棲中の恋人は相も変わらず脳天気そうな明るさでもって俺を呼ぶ。
「あ?」
俺が包丁を持つ手を止めて振り返ると、満面の笑みを浮かべた円堂がそこにいた。
「料理してんのにごめん!でも俺我慢できなくて…」
ニッと笑って頬をかきながら、円堂は上目遣いに俺を見上げる。
(…無意識なんだろうが、その仕種の破壊力をこいつはちゃんとわかってんのか?)
「…なんだよ」
頬に熱が集まるのをごまかすように、わざとぶっきらぼうな言葉で返事をすれば、円堂はまた困ったようにへへへと笑う。

「メリークリスマス!」
そう宣言されて差し出された両手には、緑の包装に赤と金のリボンを巻き付けた小包が乗っていた。
「…」
「不動にクリスマスプレゼント!」
一瞬何が起きたのか良く分からなかったが、どうやら目の前のそれは俺の為に用意されたクリスマスプレゼントらしい。
「…っ!」
理解した途端無性に恥ずかしく、それ以上にどうしようもないくらいの嬉しさが込み上げてしまった俺は、思わず持っていた包丁を落としそうになって慌てた。
だって考えてもみろ、あの、円堂だぞ?「クリスマス?鳥食ってケーキ食ってサッカーする日だろ?」な、あの円堂が…わざわざプレゼントを用意してくれてたとか、しかもそれは間違いなく恋人として俺を意識しているからこそなわけで…。
「…開けていいのかよ」
どんなに嬉しさが込み上げようと、衝動のまま抱きしめたい欲求が高まろうと、そんな事を素直に伝える言葉や性格なんて持っていない俺は(しかし熱を持った頬と耳はきっと隠せていないが)、ただ円堂からその包みを受け取る。
「うん!…まぁ、その、さ…俺あんまりこういうの良くわかんないっていうか…むしろ初めてっていうか…だから、言い訳って訳じゃないけどその…ありきたりってか無難なやつにしちゃってさ」
円堂も相当照れているのか、明らかにいつもよりも饒舌な早口で聞いていない事までペラペラと話始め、俺がリボンに手を掛けた瞬間には緊張したようにグッと手を握っているのが見えた。
(初めてとか…くっ…嬉し…ってああ!もうっくそっ!)
自分の頬の温度がさっき以上に上がっていく。
必死に虚勢をはってクールな自分を演出したいのに、溢れる喜びで指先が小さく震える。

(…っ!!)
ペラリと薄い包みを開いて現れたそれは、黒の少し小洒落た手袋で俺は目を見開いた。
「…嫌、かな?」
さっきまでの勢いは何処に行ってしまったのか…何も言わない俺に不安そうに円堂が声をかける。
俺はと言えば、謀らずして起こったある事に、もう何と言葉を発していいものか頭の中が真っ白になっていた。
「…お前にしてはいいセンスだな、って言いてぇとこだが」
「?」
俺は台所に隠しておいた(俺の絶対不可侵のテリトリーが最近台所になりつつあるのだ、不本意だが)包みを取りに行き円堂の胸に押し付けた。
「???」
「…さっさと受け取れ馬鹿」
「不動?これ」
いきなりの事に円堂は困惑していたようだが、そっぽを向いて何も言わない俺に、それが俺から円堂へのクリスマスプレゼントであることを遅れて理解したようで、喜々として「開けていいのか?」と聞いてきた。
俺は意味なく円堂を一瞬睨んでから小さく頷く。

そして包みを開いた円堂が見たプレゼントの中身だが。
「不動!これっ!」
「…狙ってねぇからな!」
円堂が俺に用意した手袋と、色違いの同じものだった。
俯いていた顔を上げて円堂を見つめれば、円堂が見るからに嬉しそうな顔で、キラキラ光るあの瞳で真っすぐに俺を見ていた。
「すっげぇな俺達!!」
円堂が俺の両手を掴んで言った。
「っ!」
「お揃いだなっ!」
へへへ、と少しだけ恥ずかしそうにはにかんだ表情を見て、どうしようもなく胸が苦しくなって俺は。
「っち!」
結局恥も意地もかなぐり捨てて、円堂の両手をそのまま引き寄せて抱きしめた。

「!……へへ、ありがとうな、不動」
腕の中でムクムクと動く円堂に、小さく、本当に小さく「…いちいちうっせぇよ」と呟いた(そこだけは最後まで素直になれなかった)。

毎年この時期馬鹿みたいにはしゃいでる奴らを鼻で笑っていたはずなのに、今年の俺ときたらどうだ、何軒もの店を梯子して鳥を焼いてディナーもどきの料理にまで挑戦して、どれもこれもたった一人のこいつの為で、ああもう畜生!
今幸せだとか噛み締めてるよくそっ!

こいつと巡り会わせてくれたことだけは感謝してやるよ神様!




++++++
言い訳

うちの不動本当捏造ですみません(土下座!
でも凄い好きなんですよこのツンデレな旦那っ!!
円堂さんと本当幸せになるといい!!
一日?遅れですがハッピーメリークリスマース!!

うちにはサンタが来ないけど!笑

ここまで読んで下さって本当にありがとうございました!