溢れる温度



※注意!
成長パロです。
懲りずに大学生で同棲中な不円。
不動も円堂もキャラ崩壊です…orz

苦手な方はご注意下さい。


















































バタンッ!
乱暴に開かれる扉の音で、フワフワしていた意識が一瞬まともになった。

(…あ、不動帰ってきた)

「おい…熱はさがったのかよ?」
ガサガサとベッドサイドで音がする。
「…ぁ、う…ん…だい、じょぶ」
掠れた声でなんとか返事をしたら「全然駄目じゃねーか」と呆れた声で返された。
「…う、ごめ…ん」
別に怒られた訳では…多分ない、と思いたいのだが(不動は基本的にぶっきらぼうで口が悪いから普段からそう思うようにしている)どうにも風邪にやられて弱っているせいか、そんな一言だけでらしくなく気持ちが落ち込んでしまう。
「ったく、…起きれるか」
ううう、と呻く俺に普段からは考えられないくらい優しい(気がする)声音で不動が話し掛けるから、俺はまた弱り切った心をグラグラと揺すられた。
(不動が、優しい)
今度はまたそんなたった一言に、ジワジワと涙腺が潤み始めてそれをなんとか必死に堪える。

「とりあえずなんか食え、そしたら薬飲んで寝ろ」
ったく馬鹿じゃねぇのか本当にお前、自己管理は基本だろーがあーだこーだ。

不動のお説教は珍しい。

それだけ多分心配してくれているんだと思うと、不謹慎だか嬉しくなってしまう。
尚もブツブツと言いながらスーパーの袋からサンドイッチや桃缶を取り出す不動が、なんだか普段の尖んがったイメージとあまりに違い過ぎて、やっぱり俺は楽しくなってしまってヘラリと笑う。

「…何笑ってんだよ」
不機嫌な不動の声と、反対に少しだけ赤くなった耳。
「…不、動が…やさ、しい…から」
なんか嬉しいってかくすぐったい。
咳に邪魔されながら笑ってそう言ったら、不動はやっぱり少し赤い顔のまま小さく舌打ちをした。

「あり、がと…な、不動…」
なんでかな、なんでだろう。
ありがとうとか、結構いつもちゃんと伝えてるんだけど、やっぱり風邪で弱ってるせいなのか、いきなりグワッと涙が溢れた。
嬉しいのに、切なくて、苦しいのが胸なのか体なのか良くわからない。
(なんだ、これ…意味わかんない、な)
不動が帰ってきて10分も経っていないのに、俺の気持ちは上がったり下がったりと大忙しだ。

「っ!…何、泣いてんだよお前」
いきなり涙を浮かべた俺を一瞬びっくりしたみたいに見つめた不動が、くしゃっと笑った。
(あ、俺…今の不動の笑った顔、好きだ)
「…へへ、俺も…よく、わかんな…」
笑ってるのに涙は溢れて、本当になんだかよくわからない。
でも不動が俺の頭に手を伸ばしてくれて、くしゃくしゃと前髪をかき上げられて、それがまた嬉しくて、俺はキュッと目を閉じて笑った。

(不動の手、冷たい)
(気持ちいい)
(不動が、優し…い)

くすぐったくて胸がきゅっきゅっと鳴る。
少し体を起こされて、口に運ばれる食べ物や飲み物を、体がゆっくりと吸収していくのと一緒に、不動の温度と優しさがジワジワと俺の胸に広がっていく。

「な、ぁ…ふどー」
ああ、今この溢れそうな気持ちを、ちゃんと不動に伝えないと。
再び朦朧としてきた意識の片隅で俺は思った。
「ああ?」
相変わらず不機嫌そうな声の不動に、今度は胸を痛めることはなかった。
(それよりも、それよりも早く)
伝えたい言葉を。

「俺…本、と…おまえの…こと、だいすき」

「っ!!」
見開いた不動の目を見て、へへへ…とまた笑った俺に不動は今度こそ真っ赤な顔で舌打ちをして…

「…知ってるっつーの、早く寝ろ馬鹿」

そう言ってくれた。





(…知られてたか、そうか)
へへへ、と堪えきれずに俺はまた嬉しさを溢れさせて泣いて、笑った。


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言い訳

ツイッタはネタの宝庫だね!
えあーさんの呟きに滾って風邪看病不円でした。
設定が相変わらず大学生同棲カポーなのは趣味。
…しかたない←

勝手にネタ拝借してすみません(土下座
書いてて凄く楽しかったです!
ここまで読んで下さってありがとうございました!



ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました!!