no title2
※no titleから続いています。
現パロです。
鉢屋が女の子とイチャイチャしている描写があります。
苦手な方はご注意下さい。
あれから、一週間経った。
俺から乱太郎に連絡はしていない。
乱太郎から俺に連絡も来てない。
俺は携帯を開いては閉じ、開いては閉じと無意味に、無意識に、繰り返していた。
「ねぇ三郎?どうしたの?今日ずっとぼーっとしてるよ?」
ここは先日乱太郎と一緒に入ったファミレスで、目の前に座る女の子は久々知に紹介してもらった友達だ。
もう片手では足りない位にはデートを繰り返している。
「あ、いや、ごめん、なんでもないんだ」
なんでもないと言いつつ、俺は相変わらず携帯を開いては閉じを繰り返しているし、女の子ってそういうところは敏感だ。
「…ふーん」
案の定、納得していないようで探るように俺を見る。
(…駄目だ、全然楽しくない)
昔から男女共に友達は結構いたし、高校位からは何人かの女の子と付き合った経験もある。
今はフリーだけど、目の前のこの娘みたいに一緒に出掛けて飯を食べたり遊んだり、それなりに楽しい異性交遊には事欠いていなかった。
だから正直に言えば「ゲイ」というそのもの自体、俺にはよく理解出来なかった。
世の中の半分は女が占めていて、見ていて可愛くて抱けば柔らかい、そんな女に興味がないってどんな感じなのかわからない。
(キスするなら、甘い香りのする女の子の方が絶対にいい)
いつもならそこで完結。
思考終了のはずなのに、ここ数日はずっと…『だけど』と考えてしまう。
(乱太郎なら、)
確かに女顔だった気がする。
甘い匂いがしてもおかしくもなさそうだし、しかし柔らかいかどうかは…
まで考えて(だぁああああっ!!!俺は!!!何を考えてんだぁあああっ!!!!)と壁やテーブルに頭を叩き付ける。
「ちょっ!?三郎!?」
当然俺の奇行に驚いた彼女が悲鳴を上げ、今日のデートはお開きになった。
いつもならこんな最低なデートをしてしまったら(というかここまで最低なデートは初めてだけど…)何てフォローしようとか、次のデートのプランを考えるのに、今日は全く頭が回らない。
謝罪のメールすら打てない。
馬鹿みたいに、乱太郎の事が気になっていた。
(…意味、わかんねぇ)
頭を抱える俺はまたフラフラと別のファミレスに入ろうとした。
その時だった。
「こんにちは」
唐突に声を掛けて、俺の目の前に立っていたのは、乱太郎にキスをしていたあのオッサンだった。
「…どうも」
一拍遅れて挨拶すれば、この前と変わらない胡散臭い笑顔を俺に向ける。
「時間、あるかな?」
「はい」
別に話したくもないけれど、ここで断るのは何だか負けた気がするから俺は頷いた。
カランと品の良いベルが響く、これまた品の良さそうな喫茶店に入り、アイスコーヒーを二つ頼んで席につく。
「………」
「………」
微妙な沈黙を破ったのは相手の方だった。
「まずは自己紹介した方が良いかな?私は雑渡、これ名刺ね」
すっと差し出された名刺を見れば、主張し過ぎない程度の大きさで会社名と名前「雑渡昆奈門」と書かれていた。役職は「取締役」。
別に深い意味はないんだろうが、何だか嫌味に感じるのは俺の思い過ごしだろうか。
とりあえず俺が、この男の全てを気に食わないらしい事は自覚した。
「乱太郎くんから、聞いたんでしょ?」
「は?…まぁ、」
「私も君の事、乱太郎くんから聞いてね」
「…」
「優しい先輩だって、ね」
だから、なんだよ。
そう言ってテーブルを叩きたい気分だった。そんな行動、意味もないし、何故自分がそんな衝動に駆られるのかも分からない。
ただ、こいつの言い方が釈に触るのだ。無性に。
「率直にいうと、下手な口出しは無用だよ?ってね」
「は?」
「私と乱太郎くんはどちらも成人していて、同じ目的の為のパートナーを探している」
君が何か口を挟まなければならない事があるかい?
何が率直だ。
遠回しの癖に確実な牽制を含んだ狡い言い回し。
「俺は別に」
「でも君、私と乱太郎くんが深い関係になるの、面白くないんだろ?」
「それは乱太郎の自由、」
「そう、これは乱太郎くんと私の問題だ」
「っ!あんたっ!」
言いたい事はハッキリ言えよ!っと怒鳴り付けそうになった時、奴は笑った。
「こっち側の人間じゃないのに、下手な正義感と好奇心で口を挟むなよ」
相変わらず笑顔で宣う奴に本気で殴り掛かりそうになる。
「迷惑するのは乱太郎くんなんだよ」
しかしそう言われて怒りは一気に終息してしまった。
「私もね、こんなことわざわざ言いたくないんだけどさ、これでも君達より年長者だしね…経験に基づく助言だ。君の半端な行動は乱太郎君を傷付ける」
傷付ける。
何が、とか、どうして、とか、あんたに何がわかる!とか…思っても言えなかった。
乱太郎から言わせればきっと「見なかったふりして今後も連絡を取らない」が1番良いんだろうなんて、本当は最初からわかっていたし(だからこそ乱太郎から連絡がないのだろうし)。
わかっていることを気付かないふりしてまで、連絡の来ない携帯をずっと気にして、四六時中乱太郎の事ばかり考えている自分がわからなくて。
本当は色々可能性も浮かんでるけど、どれも違うと否定し続けて、ごまかすみたいに女と遊ぶ約束取り付けてデートしている自分が、確かに中途半端だと…妙に納得してしまったからだ。
「じゃあ先に出るね、支払いは済ませるから気にしないで」
何も言わずに俯いてしまった俺に、そいつはそれだけ言って席を立った。
そして最後に…
「私は乱太郎君が好きだよ?本気だ。年齢差なんて気にならないくらい、むしろそれを強みに出来るくらい…本気で彼を欲しいと思ってる」
頭がグチャグチャして、何も考えられなくなった。
終
++++++
言い訳
うーん…なんで鉢屋にしたんだろう…orz
書いていて違和感が拭えない←
乱ちゃんでないまま二話終了です。
一話の相手は雑渡さんでした!←趣味全開
次でまとまるのかなぁ…orz
ここまで読んで下さってありがとうございます!