no title
※現パロです。
ノーマル鉢屋×ガチゲイ乱太郎なお話です。
お互いまだ恋愛未満です。
乱太郎は鉢屋以外の人と関係を持っています。
苦手な方はご注意下さい。
見てはいけないものを見てしまった。
多分、そう、見てはいけなかった。
夜の繁華街を俺は歩いていた。
特に意味もない、女を探してるわけでもないし、そもそも誰かを待ってるわけでもない。
ただ近所のコンビニはここが1番近くて、そのコンビニに弁当を買いに来ただけ。
だから本当、ただの偶然。
「ん?」
視界に入ったそれに思わず意識を奪われる。
立ち止まった俺の視線の先、昔良く遊んでやった知り合いが、明らかに年の離れた男とキスをしていた。
(…………)
現状を、良く理解出来ない。
俺は無言のまま頭を整理しようと頑張った。
知り合いは四つ下の後輩で、名前は猪名寺乱太郎。
性別は男。
高校に入る前くらいまでは他の後輩達と一緒に、良く遊んでやったのを覚えている。
だからもうかれこれ10年ぶりくらい?正直、顔を見てすぐに彼だと分かった自分に驚いた。
そんな後輩が、明らかに中年のオッサンと路地裏でキスをしていたら、どうするよ。
(…援交?いやいやいや、えっと俺今年24だし乱太郎は、えーっと…20歳だから、まぁ違うよな…てかアレ?男同士…男同士だよな?相手は若く見て30半ば…)
これが本当にただの知り合いってだけならば、俺だって(恋愛は自由だよな、俺自身はホモはごめんだけど)と軽く引きながらも見なかった事にでもして立ち去るんだろうけど、乱太郎ってどんな奴だったっけって考えて、Uターンする足は止まってしまった。
俺の知ってる乱太郎は何て言うか「しっかりしているようで騙されやすい」「情にほだされやすくて器用貧乏」「アタリ9ハズレ1のくじでほぼ100%ハズレを引く」そんな妙に危なっかしい奴だった事を思い出したのだ。
(騙されて変態に捕まってる、とかありえそう…)
いやいや、まさか、いや、だけど…と、数回の思考の末俺がもう一度路地裏を見れば、とりあえずくっついていた二人は離れていた。
「あっれー、久しぶり!乱太郎だよな?!」
だから「まさに今通りました」的に声を掛ける事で俺の正義感を満足させる事にした。
「っ!…鉢屋、先輩!」
いきなり声を掛けられたからか、はたまた声を掛けられる寸前まで行っていた行為のせいか、乱太郎はおかしいくらいうろたえて見えた。
「中学の卒業式以来か?元気にしてたかー?」
ニコニコと、表情を作るのは昔から得意で、自然と笑みを作って話しかけた。
「あ、え…あ、そう、ですね…お久しぶり、です」
対して乱太郎は怯えたように強張った笑顔を作って見せた。
(こんな…笑い方する奴じゃなかったよな、昔は)
思い出の中の乱太郎はどの場面でも太陽の様な笑顔を浮かべている。
(まぁ、乱太郎がにしてみれば状況が状況だからな、仕方ないのか)
そう思いながら、乱太郎をそんな状況に追い込む原因となっているもう一人の男をチラリと見た。
「知り合い?なら私の用は今度にするよ、またね」
乱太郎の頬をわざとらしくそいつは撫でて、俺と同じ様にチラリとこちらを見て、ニッコリと紳士っぽく笑った。
(なんか、ムカつく)
まるで挑発でもされている気がした。俺はとりあえず軽い会釈だけを返した。
(でもこの様子だと変態に〜説は違うか?)
乱太郎と男の態度に鉢屋は考える。
「え?い、良いんですか?」
「うん、私の用はいつでも大丈夫だしね」
「…ありがとう、ございます」
そうして二言三言、男と言葉を交わしていた乱太郎は、一度深々とそいつに頭を下げてこちらに走って来た。
(あ、れ?…つか俺、この後どうするか考えて無かったし)
勢いで行動ってするもんじゃない、と思った。
++++++
「…やっぱり、見てたんですね」
「…偶然、な」
とりあえず「久しぶりだし一緒にご飯食べないか?」と少し離れたファミレスに入ることにして数十分…。
乱太郎の方から核心に触れてきてくれた。
「私、ゲイなんです」
「…」
はっきりと言われると何と返していいものか悩む。
「やっぱり気持ち、悪いですよね」
すみません、と向かいの席で頭を下げる乱太郎に俺は慌てて否定をした。
「いや!気持ち悪いとかは全然!驚いただけなんだ、…ごめん」
これは本心だった。
驚いたが、現場を先に見ていたせいか「あぁ、やっぱりか」程度で、乱太郎に対しての嫌悪感は不思議と無かった。
「さっきの人と、付き合ってるのか?」
だったら悪いことしたなぁ、と呟くと、乱太郎は首を振った。
「付き合っては、ないです」
(え?)
だってキスしてたよな?と思う、もちろん表情にも出ていたんだと思う。
乱太郎はそんな俺に困ったように笑って、俯く。
「…中々、同じ人っていないので、そういうサイトで知り合った人なんです」
「…へぇ」
乱太郎の言う同じってのは、同じくゲイの相手って事で、そういうサイトとは所謂出会い系という奴なんだろう。
(…乱太郎が出会い系で出会った中年とキス)
何故だろう、まだ幼い頃の純心で天使のような乱太郎しか記憶に無いからだろうか(それともあの頃のアレは幻想か何かだったのか)、俺は乱太郎の口から話されるその事実が無性に悲しかった。
「じゃあ、これから付き合うのか?」
「わかりません…会ったのはまだ二回だし」
「…そう、なんだ」
(二回目で、付き合ってないけど、キスはした、のか)
なんでかどんどん凹んでいく自分の心に、頭が着いていかない。
(それって三回目会うと次はどこまでいく訳?)
(昔はこんな擦れてるみたいな印象はなかったのに)
(なんで笑わない?俺のせい?)
(…つかなんで俺こんなに凹んでんだよ)
何だか意味の無い思考までぐるぐるしてきて、なんだか目眩がしてきた。
「また、会うんだ?」
「…多分」
「そか、うん…分かった、あのさ、メアドと番号交換しようぜ?」
今の話しは乱太郎の問題だから、俺には何も言えないし、と笑って連絡先を交換した。
勿論内面の動揺や思考は綺麗に押し込めて。
俺はもやつく胸の解消方が分からないでいた。
終
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言い訳
いつもと逆のパターンにしてみました。
ノーマル×ガチゲイ←←←
相手を竹谷にしようか悩みました←聞いてない
相変わらず楽しいのは私だけですみません…(土下座
多分続きます←←←
三回分割くらいで完結になったらいいなぁ…(遠い目←オイ
ここまで読んで下さって本当にありがとうございました!