蜜事3



※年齢操作未来捏造です。
苦手な方はご注意下さい。

蜜事から続いてます。

















































「なぁなぁうっかり作兵衛」
「それは八兵衛だ」
左門の問い掛けに、スパンと俺は答える。
「違う違う、ムッツリ作兵衛だろ、左門」
「おぉ!確かに!」
「ちげぇよ!」
すかさず三之助が訂正を入れるが内容としては悪くなっている。

「じゃあなんで最近そんなにニヤニヤしてんだよ」

そう言った三之助と、ブンブンとそれを肯定するように首を縦に振る左門に、俺は内心ドキリとした。

(やべぇな、そんなに態度に出てるか?俺)

理由と言えば想いを寄せている後輩とのひょんな事からの急接近だが、それをこいつらに話していいものか一瞬考える。

(いや、駄目だな)
最近気付いたのだが二人も乱太郎をそういう興味を持っている節がある。
恋敵においそれと教えてやれる話ではない。
「別に何もねぇよ、最近特に苛立つ事がねぇから機嫌良く見えるだけだろ」
俺を苛立たせる理由は主にお前らだけどな、とは言っても伝わらない事をこの六年でしっかり学んだので黙っている。
「ふーん」
「ふーん」
何とも興味のなさそうな返事である。
「ま、いーや、俺は最近良い事あったぜ?」
「へー」
お返しとばかりに気のない返事を返してやる。

「実はさっき乱太郎に相談があるから放課後来てくれって医務室に呼び出しされた」
「は!?」
「えぇっ!?」

身を乗り出して驚く俺と左門を余所に、三之助はニヤニヤと続ける。
「なぁーんか訳ありな感じでさぁ」
明らかに浮かれている三之助は多分何か頭の沸いたような事を考えているかもしれないが、俺はそれにツッコミを入れる余裕すら無かった。

(な、何でこのタイミングで三之助に相談なんだ!?)
(三之助と乱太郎に接点なんて無かったはずだ、なのに…)

頭を過ぎるのは過去二回の乱太郎と密事だった。
(…嫌、だったとか?…だから三之助に止めて欲しくて相談?)
最近は陰を潜めていた後ろ向きな妄想癖が再発していることにも気付かず、作兵衛は更に更にと悪い考えを巡らせていく。

(三之助になんて相談したら…)



『次屋先輩、実は私最近…富松先輩に…』
乱太郎が事の成り行きを説明すると、三之助は神妙な面持ちで乱太郎を見つめる。
『…そうか、それは怖かったな』
途中涙を瞳に浮かべながら話す乱太郎を三之助がらしくなく優しく慰める。
『先輩だし、逆らえないし…私、私どうしたら…っ』
乱太郎は話を聞いて貰えた事と、自身を気遣う三之助の優しさに安堵したのか、三之助に縋るような視線を送る。
『作兵衛の事は俺が何とかしてやる』
何かを決意したように、ジッと乱太郎を見つめながら三之助はは言った。
『次屋先輩…』
『それに作兵衛の事なんか、俺が…俺が忘れさせてやるよ』
少しだけ眉を寄せた三之助は乱太郎の肩を掴むと、いきなり乱太郎を抱きしめ、そのまま押し倒す。
『つ、次屋先輩?』
『…俺は、乱太郎が好きなんだ』
困惑の表情を浮かべる乱太郎に、三之助はポツリと呟いた。
『そっそんな…いきなり』
『乱太郎、』
突然の告白に顔を真っ赤にした乱太郎に、三之助は優しく唇を落とす。
『あ、つ…次屋、先輩…』
乱太郎の胸に置いた手の平を、乱太郎の身体をなぞるように滑らせそのまま三之助はぁああああああ…!!!!!!

(駄目だ駄目だ駄目だ!!!)
絶対にさせねぇっ!!!!

「おっ俺も」
「私も一緒に行くぞ!」
二人きりになんてしてなるものか!と同席を申し出ようとした俺の言葉よりも早く、左門が声を上げる。
「無理ー、左門今日から会計室に缶詰だって言ってたろ?」
「なっ!?…は!!!そうだった!!!」
「ついでに作兵衛も委員会あったよな?」
「っ!!」
俺達の放課後の予定を把握していながらわざわざ乱太郎との約束を俺達に伝えた三之助。
そこから汲みとれる意図は一つしかない。
「だから邪魔しないでね」
三之助はニヤリと笑う。
あからさまな牽制だ。



「クソッ」
放課後、委員会活動等に身が入る訳もなく、俺は不機嫌を全開に備品の修理を黙々としていた。
「せ…せんぱーい?」
見兼ねた喜三太が恐る恐ると声を掛ける。
「あ゙ぁ゙?」
「うぇ…下級生達が怯えてますよぅ?」
見れば下級生達がふるふると震えながら身を寄せ合っていた。しんべえや平太も困ったようにこちらを見ている。
「…」
誰が悪いわけでもない、八つ当たりだ。
どう考えても俺が悪い。

「わりぃ…今日はこれで」
終わりにしよう、そう言おうとした時一年の一人が小さく声を上げた。
「痛っ」
どうやら桶の整理をしていて割れた部分が指に刺さったようだった。
「大丈夫?…あ、これくらいなら僕薬もってるから」
「わぁっ!」
すかさず様子を見に行った喜三太が薬を出す前に俺はその一年を抱き上げ小脇に抱えた。
「せっ先輩!?」
「今日の委員会終了!四年は片付けと下級生を宜しく!俺はこいつを医務室に連れてく!」

ガタンっ!と扉を勢い良く開きひょいひょいと無駄に忍者しながら大急ぎで医務室に向かう。



「…はにゃあ、先輩どうしたんだろ?」
「ねぇ」
「…」
後に残された用具委員達は首を傾げた。



+++++++
「はぁはぁ、はぁ…」
医務室の前まで来た。
全速力で来たせいで息が苦しい。
唖然としたままこちらを見上げている一年生の頭をひと撫でして扉の前に立つ。
昼間の嫌な妄想を振り払う様に頭を振り、扉に手を掛けると不意に中から話し声が聞こえる。

「…から、…しは……ぱいが、」
「ないない、なぁ俺に…」
どうやらまだ中には三之助と乱太郎が居るようだ。
一瞬扉を開けるのを躊躇仕掛けるが、こっちには怪我した一年がいるのだ。
邪魔しに来たんじゃない。
仕方ない。
と自分に言い聞かせ扉を開く。

(…ったく、情けねぇ)
紛れも無く自分自身に思う。
溜息をついて脇を見たら一年生が固まっていた。
俺が顔を上げれば…

「あ」
「あ」
「…は?」

三之助が乱太郎を押し倒していた。



数秒の沈黙。
俺は一年生を下ろし後ろを向かせて扉を閉める。
「三之助ぇえええっ!!!」
「ちっ…邪魔すんなって言ったのに」
「こちとら怪我した後輩連れてきたんだよ!」
「ふーん」
よっこらしょっと、そう言いながら乱太郎から離れた三之助は、俺を見て、そしてまた乱太郎を見た。
意味ありげな三之助の視線に俺は内心ドキリとした。

(…う、やっぱり相談って)

「乱太郎、さっきの話ちゃんと考えろよ?」
三之助は小さく溜息を漏らして俺を見た。
「ムッツリ作兵衛君、後で尋問な」
「…」
(やっぱりかぁ…)
多分、乱太郎は俺の事を三之助に相談したのだろう。
三之助が俺の肩を叩いて医務室を出ていく。
小さく息をついて乱太郎を見ると、真っ赤になって乱太郎も俺を見詰めていた。

「こいつ、診てやってくれ」
「…は、はい」
とりあえず後ろを向かせたままの一年を乱太郎に預け、俺は床に腰を下ろした。



「はい、もう大丈夫だよ」
「あっありがとう、ございました」
治療を終えた乱太郎が一年の頭を優しく撫でる。
「長屋まで一人で帰れるか?」
「はい!」
俺が聞けば元気にそう答え、パタパタと駆けて長屋へと帰って行った。

「…」
「…」
二人きりになった途端訪れる気まずい沈黙。

「あ、あの…」
耐え切れなくなったのか、乱太郎が小さく口を開く。
「三之助に相談って、やっぱり俺の事か?」
「…っ!」
びくりと跳ねた肩が、肯定だった。
「へぇ、なぁ…三之助に助けを求めたのか?」
ジリジリと乱太郎との間合いを詰めながら、俺は笑った。
正直内心は苛々と怒りが徐々に募っていて、それでも表面上はそれを悟られないように振る舞う自分がの頭が、冷静なのかなんなのか、良くわからなかった。

「いえ、…あの」
怯えた様に俺を見上げる乱太郎に、俺の中でブチンと何かがキレた。





「…っひ、ふぅ…ぁ」
両手で自分の口を塞ぎ、必死に声を殺そうとする乱太郎を、俺は口を使ってその熱を高めながら冷静に観察していた。
此処は医務室の中の薬品庫。
扱いが危険で表に堂々と置けないような薬を保管する場所らしい(前に数馬が言っていた)。
男二人で入るには大分狭いが、これだけ密着していれば問題ない。
「何我慢してんだよ?良いんだろ、なぁ?」
口を離して今度は右手でグチグチと少し強めに擦り上げる。
「ふぅっ!…はっぁ、ぁ…ぁ、うぅ」
暴れる腰に乱太郎の肩が跳ねて弾みで棚をカタンと音立たせる。



医務室の明かりを消し、怯える乱太郎を引きずって此処に押し込んだ。
何をされるのかは察した様で、顔を真っ赤にした乱太郎がブンブンと首を横に振っていた。
「明かりは消したけどでかい声は出すなよ?誰が呼びたいなら別だけどな」
淡々とそれだけ言うと、乱太郎の腰帯に手を掛け手荒く引き抜く。
「やっ、せっ先ぱ、っ!勘弁…して下さい」
乱太郎は必死に俺を止めようと俺の両手を掴むが、基本的な握力と体力が違う。簡単に振り払う。
現れたそれを無言のまま口に含むと、腰がビクンと跳ねて息を飲む気配がした。
「や、やぁ…汚、から…離し」
前もしたのに何を今更、と思うがふと気が付く。
(ああ、前は風呂に入った後だったから)
俺はニィと意地悪く笑う。
「乱太郎の匂い」
それだけで乱太郎の顔は泣きそうに歪んだ。
実際は元々体臭が薄いのか、匂いどころか味もしない。
そう思うと正直がっかりしている自分に気付く。
(変態か、俺は)

自身の思考に苦笑してから、今度は余計な考えを振り払い一心不乱に乱太郎を追い上げる。

「ふぅ、っあ、あ、あぁ」
断続的に漏れる声は相変わらず俺を煽る。
(…女みてぇ)
そう思っていや違う、と思い直す。
(女なんかより、良い)

どんだけハマってるんだ、と思う。
仕方ない、極上なんだ、好きなんだ。
(三之助なんかに、譲って堪るか)
そこまで思ってようやく怒りを思い出す。

「なぁ、良いんだろ?気持ちいだろ?これ」
竿をギチギチと擦りながら、袋にねっとりと舌を這わせる。
「ぁ、ぅう…は、ぁあ」
「なのにさ、なんで?」
ギリッと先端に爪を立てると、蜜がくちゅりと溢れた。
「ひぅっ!あ、ぁあっ」
「三之助に助けなんて求めんの?」
これは、俺の中でチリチリと焼けるように拡がる怒りは、熱は。
嫉妬、だ。
お門違いなのはわかってる。
だって俺達は付き合ってるわけじゃない。
乱太郎を好いているのは俺だけで、乱太郎からしたら迷惑でしかないのかも…しれない。
「なぁっ!」
「ひっ!やっ!ち、違…ゃあっ」
俺の怒りを察したのか、乱太郎は怯えた瞳を俺に向けながら首を小さく振った。

「何が違うんだよ、」
「ちっ違…助け、じゃ…っ」
みるみるうちに歪んでいく乱太郎の瞳には涙が溜まって堪えきれずに溢れ出した。

「助け、って…欲しかっ、たん、じゃな…っひ…」
徐々にか細い喘ぎは鳴咽に変わり、乱太郎はひっくひっくとしゃくり上げながら、ぽつりぽつりと語り始める。
「せっ…先輩、とっし、してから…先輩をみる、と…くっ苦しっ、くて」
「…」
乱太郎が俺の上着を掴む。
「二回、目した…とき、頭…撫でられ…たの、嬉しくっ…て」
「…」
俺は始め、乱太郎が何を言いたいのか良く分からなかった。

(俺を見ると苦しい?)
(俺に頭撫でられて嬉しい?)

…それって、
「私、先輩…が私をっ…どう、したい…のか、わからなくて」
「…」
「せん、ぱいの…事、知りたくて…」

(それで三之助に?)

「…っ」
俺は思わず乱太郎を抱きしめた。
「…っ!」
「お前…ほんっと馬鹿だなぁ」
そう言うと、乱太郎の背がびくりと震えた。
「ったく…そう言うのは、直接俺に聞け」
三之助に頼られたりなんかすると、それだけで落ちつかねぇ…思った言葉はぐっと飲み込んで、乱太郎の肩を離しその顔を正面から見る。

「ばぁーか」
「バカバカ…っ言わないで、下さいぃ…」
ぶわっと涙を溢れさせる乱太郎にククッと笑って、その頭を撫でてやる。
「…お前、本当可愛い」
「…っ!…先輩って、意味…分から…ない」
見開いた乱太郎の目を見つめて、俺はまた笑う。
「じゃあとりあえず、お前に選択権をやるよ」
「は、ぁ?」
「いいか?俺にそれを言わせるんならお前はもう俺から逃げられないからな?…それでも、聞きたいか?」
乱太郎は唖然とした表情をした後、吹き出すように小さく笑った。
「…本当、ずるい」
「どうすんだよ?」
「そんなの、聞きたいに…決まってます、先輩こそ…責任、とって下さい」
涙を拭いながら怒っているような声音で、しかしどこか楽しそうに乱太郎は言う。
「なんのだよ」
乱太郎のおでこに俺の額を押し付け問えば、乱太郎は優しげに笑った。
「先輩が気になって仕方ないんです、…責任、取って下さい」
「は、しょうがねぇなぁ」
「もー」
口が悪いんだから、と言って笑う乱太郎に、もう先程の悲しみは見当たらなかった。
結局俺も乱太郎もお互いに「好き」とは言っていない訳だか、結果としては伝わって…いる気がする。
(って言うか俺の勘違いじゃねぇよな!?)

若干の不安を残しつつ、俺は再度乱太郎に向き合い…ニヤリと笑う。
途端ビクリとして頬を引き攣らせる乱太郎が、この薄暗い部屋の中でもはっきりと分かるのが不思議だ。

「じゃあまあ、お互いの誤解も晴れた事だし」
「せ…先輩?そ、その私もう今日は…」
怖ず怖ずと後が無いにも関わらず後ずさる乱太郎の萎えた下半身を俺は瞬時に人質(?)に取る。
「ひっ」
「あんだけ感じてたんだから、出さなきゃ身体に悪ぃだろ?」
乱太郎が怯えを含む半笑いで首を左右に振る。
「…つーか今回はお前がイくだけで終わるなんて思うなよ?」
「へっ?」
「当たり前だろ、今回からはお前にも色々手伝って貰うからな」
ぐいっと身体を引き寄せ、その耳元で怪しく囁いてみせる。
ひくんっと揺れる肩に早速俺の情欲が煽られていくのを感じた。




+++++++
言い訳

ようやくくっつきました!←←←

出来たら三之助視点の話とこの後の情事も書きたいっす←←←

此処まで読んで下さって本当にありがとうございました!