ごっこ遊び
※年齢操作未来捏造です。
若干…スレ乱要素有?
苦手な方はご注意下さい。
きっかけは俺だ。
拒まなかったのはあいつ。
それだけだ、それだけ。
それだけでこんな滑稽な関係を一年も続けてる。
「もうすぐですね」
「何が?」
「卒業」
「…あぁ」
俺が触れたくない話題を、お前はいとも簡単に俺へと投げかける。
つまりそれは俺とお前のそれへ対しての思いの相違を示していて。
「先輩は城勤めでしたっけ?」
「あぁ、」
「寂しくなりますねぇ」
「…寝ろよ、もう」
「…はぁい、おやすみなさい」
もうこの話題を続けたく無くて、無理矢理話しを打ち切った。
学年が上がる毎に同級生の数は減って(入学から脱落者が誰もいないなんて、一つ下の学年のこいつらが異例なんだ)、六年になった今年は一人部屋を貰えることになった。
しかし今この部屋に居るのは俺と乱太郎で、ほぼ週一でこいつは俺の部屋に泊まりにきていた。
付き合ってる、なんて呼べる関係なのかは分からないが、とにかく体の関係だけはあった。
こいつがここに泊まる理由がそれだから。
こんな爛れた関係の始まりは数馬先輩が卒業して、俺が六年になって初めて乱太郎と二人で医務室の片付けをしていた時だった。
「はぁ、数馬先輩がいないって…やっぱり寂しいですねぇ」
「…そうだな」
先輩を送り出すなんてもう何度として経験しているが、それでもやはり『そこにいたはずの誰かが今はいない』と言うのはそれに慣れるまで少し時間がいる。
今まで三人でしていた作業を二人でするのは、大変ではあったがお互いに気持ちを整理したいというのもあって、あえて今年四年になる下級生は呼ばなかった。
「先輩ももう六年生なんですねぇ」
「さっきからなんだ、お前も今年は五年だろ」
「そうなんですけど…」
乱太郎は俺から見て反対側の棚の整理をしていて、振り返っても俺からはあいつの背中しか見えなかった。
「先輩とこうして一緒に仕事するのも、あと一年なんだなぁって思って」
「…なんだそれ」
「…少し情緒不安定になってるんでしょうね」
はは、寂しいなんて。
呟いたあいつの言葉は、俺の胸をツクンと突いた。
「…寂しいなら、慰めてやろうか?」
いつもと同じ意地の悪い問いのつもりだった。
昔から俺達は一つ下の後輩をからかって、虐めて、その後輩達とお互いに競い合うように育ってきたのだ(子供の象徴、特権とも言うのか)。
ただ、それだけだった。
それを変えたのはあいつだ。
「じゃあ、慰めて下さいよ」
振り返ったあいつは、からかわれてばかりいた五年前とは変わって(当たり前だ、もうずっと長い時間が流れているんだから)妖艶に微笑んだ。
「本当に、いいんだな?」
「先輩から言ったんじゃないですか、慰めてくれるって」
「だからって…」
初めて体を重ねる夜、俺は乱太郎を組み敷いて最後の確認をしていた。
「良いんです、先輩に優しくされたいだけなんです、多分」
クスクスと笑う乱太郎は、俺が知っているこいつとは違い過ぎて、正直、困惑した。
「…なんだ、それ」
「深く考えないで下さい、言ったじゃないですか、情緒不安定だって…治療して下さい。私の寂しさを埋める為に」
恋人ごっこを、しましょう。
二度目に見せたられたその妖艶な微笑みに、俺は息を飲む。
そのあとはなし崩しだった。
事あるごとに、あいつは俺の部屋を訪ね、体を重ねた。
そうして、今に至る。
明かりを消して、部屋はすっかり暗闇に包まれていて、耳を澄ませば隣から乱太郎の寝息が聞こえてくる。
(終わりの見える恋人ごっこ)
むくりと布団から起き出した俺は、眠る乱太郎に近寄ってみる。
(数馬先輩が卒業して、お前は寂しいと言った)
そこから始まった関係だ。
(俺が卒業するのを、お前は寂しいと言った)
では俺がいなくなったら、お前の寂しさを誰が埋めるのか。
(また誰かが、代わりにお前を抱いて慰めるんだろうか)
苛々とし始める自身の思考に、俺は小さく溜息を付いた。
(この感情を、知っている)
(こうなる理由も、知っている)
俺とこいつの関係はただのごっこ遊び。
本気になるのは、ルール違反だ。
(わかっている、)
俺は乱太郎の頬に伸ばしかけた手を引くと、もう一度布団に潜った。
…卒業まであと、二ヶ月。
終
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言い訳
鈍い左近先輩。
毎度のことながら意味不明ですみません…(土下座
お互いに「卒業まで」とリミットを付けて始めた関係。
遊びのつもり。
だって卒業して外に出てしまったら想いに囚われることは出来ないから、在学中限定。
お互いに分かっているけど本当はお互いわりきれてないっていう←本当に意味不明でごめんなさい…;;
此処まで読んで下さって本当にありがとうございました!