決別



※年齢操作未来捏造です。
苦手な方はご注意下さい。






















































「鉢屋先輩、ご卒業おめでとうございます」
にっこりと、満面の笑みで一輪の花を差し出しながらそう言う君に、私は酷く切ない気持ちになった。



「ありがとう、…私は戦場で決して君とだけは逢いたくないなぁ」
乱太郎から花を受け取り、その頭を優しく撫でる。
乱太郎は私の言葉にキョトンとしたまま首を傾げる。

「忍者の三禁はちゃんと覚えた?」
私が唐突にそう問えば、乱太郎はハッとしてからうーんと唸り、あ!っと言いながら手の平をポンと叩いた。

「えーっと、酒と欲と色です」
「正解」
土井先生良かったですね、と内心思いながらもう一度その頭を撫でる。

「酒に溺れてはいけないし、欲を出してもいけない、ましてや人を慈しみ愛や情けを抱いてはいけない」
改めて三禁の意味を述べれば、乱太郎はコクコクと小さく頷く。

「だから、私は戦場で君に逢う事は避けたい」
「?」
(きっとこの三禁を破ってしまうから)
胸の内だけで思って、乱太郎に優しく笑いかける。
「それはどういう…」
私の言葉に乱太郎はますます解せないとばかりに眉間に皺をよせる。
(あぁ、可愛い顔が台なしだ)
その皺を指でちょんと押して元に戻す。
乱太郎はまたキョトンとする。

(うん、可愛い)

「忍者は任務遂行が全てだ」
「はい」
「当然邪魔する敵が現れたら戦って、場合によっては相手の命を奪うかもしれない」
「…はい」
きっとこの子は何故自分がこんなにも回りくどい言い方をするのかわからないだろう。

「例え味方が倒れても、任務を優先するのだから見殺しにしなくてはいけない時もあるだろう」
「…」

乱太郎はジッと私の瞳の奥を覗く。
私も乱太郎の翡翠の奥をジッと見つめる。
睨めっこのようだけど、私にはもう少しロマンチックな錯覚を与える。

「忍者は特別を持ってはいけないんだ」
「ですがそれは」
「うん、言いたいことは分かるよ、人を好きになる事が駄目な訳じゃない」
「…」
乱太郎の言葉を遮って私がそう言うと、乱太郎はまた黙って私の言葉に耳を傾けてくれる。

「私には親友がいる」
「…」
乱太郎は多分私の同期のあの三人を思い浮かべてコクンと頷いた。
「でも私達の進路はバラバラで、時にはまた仲間として、時には敵として戦場で出会うだろう」

「…」
「私達は互いが忍になるために此処で六年間学んできた」
「…」
「だから私は例え戦場で彼等を殺すことになっても、躊躇わない」

本当は戸惑うかもしれない、お互いに。
でも、きっと私達は戦える。

「そんな…」
「忍として生きると決めたから」
「そんな事っ」
「きっとあいつらも同じだから」
「…っ」
またしても乱太郎の言葉を遮る私に、乱太郎は辛そうな顔をしながら言葉を無くす。

「それが私達なんだ」
「そんな…」
「だから忍は捨てる事の出来ない特別を作ってはいけないんだ」
(決して、まだ小さな君を追い詰めたくてこんな事を言っている訳ではないんだけれど…)
自分から始めた話なのに、少しだけ罪悪感を感じる。

「でっでも山田先生は奥さんとか…!」
「だからこそ山田先生は戦忍を辞めて教師になったんだろうね」
「あ…」
これは想像だけど、多分。

「何が何でも守りたいものが任務以外にもできてしまったら、忍は忍ではいられなくなってしまうんだ」
私がもし君に戦場で出会ってしまったら、例え敵でも味方でも、私はきっと忍では要られなくなってしまうだろう。

まだ最初の私の言動と今の私の話との繋がりに気付かない乱太郎に、私は優しく微笑んだ。

(乱太郎が立派な忍になって此処を卒業した時、私と君が戦場で出会ってもしも敵同士だったなら)

(私は君に殺される事を良しとしてしまうだろう)

(もしも味方だったとしても私は任務よりも君の命を優先してしまうだろう)

私の忍としての生はそこで終わってしまう。

「だから、決して戦場で君とだけは逢いたくないなぁ」






誰よりも愛しい最愛の君への。
闇の世界で生きると決めた私の、祈りと呪いを込めた決別。

どうか、私を殺しにこないでおくれ。





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言い訳

うん、意味不明!
ごめんなさい。

色々思う所があって書き始めたのですが途中から何が書きたいのかわからなくなりました…←
しかも最初はこへ乱だったっていう←聞いてない

此処まで読んで下さってありがとうございました!