意外に優しい。



※年齢操作、未来捏造です。
苦手な方はご注意下さい。
















































乱太郎が血だらけで帰って来た。

「おま…どうしたんだ!?」
俺はガタンと立ち上がり乱太郎に駆け寄った。
俺は今日保健当番で、一緒に当番だった一年には「今日は仕事が少ないから」と先程帰したばかりだったが、帰して正解だったようだ。
一年がこんな生々しい血の臭いに当てられたらトラウマに成り兼ねない。

「あ、左近先輩」
「あ、じゃない!何があった!?」
乱太郎は自身の怪我に動じた様子もなくばつが悪そうに苦笑した。

「今日学園長のお使いで出てたんですが、帰りに山賊に教われてるお姉さんを助けまして…」
「山賊にやられたのか!?」
「いえ、山賊の方は難無く…」
「は?」
「助けられて感極まったお姉さんに突然抱き着かれてバランスを崩した先が崖になってまして…」
「…」
何と無く、読めた。

「一人なら何とかなったんですがお姉さん抱えてたので、お姉さん守らなきゃ…って結果これです」
お姉さん…ってことはおそらく年上の女性を抱え傷付けないよう自身を盾にして守りながら崖を転がったんだろう…。

しかしそんな状況だったならある意味この程度の傷で済んでいるのは流石としか言いようがない。
昔から厄介事に巻き込まれまくって来た阿呆のは組こと一年は組も、今は五年に成っていた。
認めたくないが実力は俺達六年に引けを取らない程に伸びている。

特に乱太郎は薬の知識と俊足、体術に掛けては学園でも一二を争うと言われている。
阿呆だ阿呆だと馬鹿にしてきた後輩が此処まで育つと釈然としないものもあるが、薬や体術に関してどれだけこいつが努力して習得して来たかも知っている。

「じゃあその血は擦り傷か?随分派手に血まみれだな…立って歩けるってことは打撲や骨折は…」
「いやぁ…実はただの崖じゃなくて下にさかもぎみたいのが仕掛けてありまして…」
ははは…と苦笑する乱太郎だが、笑えない話だ。

「はぁ!?なんでよりによって」
「それは我々が…不う」
「それ以上言うな」
不運とかそんなんで済まされたら堪ったものじゃ無い。
第一俺は自分が不運だとは認めたくないので、他の保健委員の不運も認めたくない。

「とりあえず傷を診る、脱げるか?」
「あ、大丈夫ですよ?自分で…」
「馬鹿!良いから診せろ!」
どうにも今日の乱太郎と話していると口調がきつくなる。
高学年に上がりお互いに落ち着いた関係が築け始めていた筈だが、余りにも今日のこいつは自身を軽んじすぎている。

「す…すみません」
上着を脱げは傷は思ったよりも酷かった。
至る所に擦り傷と、恐らくそのさかもぎらしきものが突き刺さった刺し傷でどこもかしこも痛ましい。
「お前…この傷でずっと歩いて来たのか?」

「はぁ…」
さっきから怒られているような気がしているのか、乱太郎は大分小さくなりながら頬を掻いて俺と目を合わせないように苦笑を続けている。
「助けた女は?」
「送ってきました」
「お前どれだけお人よしなんだよ!」
一瞬ムッとした表情をした乱太郎がぼそりと呟く。
「左近先輩に言われたくありません」
「はぁ!?」
俺の何処がお人よしだ!
と消毒の前に患部を水で洗い拭い、傷の様子を確かめながら俺は言い返した。

「私のこと馬鹿な奴だなぁって思ってるでしょ」
「あぁ、思ってる」
即答だ。
馬鹿正直で素直で優しくてお人よしでどうしようもない甘ちゃんだと思ってる。

「思ってるなら放っておけばいいのに、手当てしたり…」
「見ちゃったら見過ごせないだろ」
「それって十分お人よしですよね?」
「うるさい」

プイッとそっぽを向けば何がおかしいのか乱太郎が笑い出した。
「…」
「くくっあははっ…はぁ…先輩って素直じゃないですよね」
「うるさい黙れ滲みるの使うぞ」
滲みると評判の傷薬を掲げれば途端に乱太郎が黙る。

「…」
「…」
「ご心配をおかけしました」
「してない」
「手当てして下さいってありがとうございます」
「まだ終わってない」
「もう」
全ての言葉にぶっきらぼうに否定的な言葉を返したが、乱太郎はまたクスクスと笑い始めた。

「先輩の手当ての仕方、優しくて丁寧で好きです」
「なっ!…うるさい」
ニコッと笑う乱太郎の笑顔は、昔のまま無邪気で可愛いらしく、それでいて艶を感じる。
自身の体温が急上昇するのを感じるが、何とか平静を装う。

年上だとか、委員長だとか関係なく、いつだって俺はこいつに翻弄され続けてる。
卑怯なんだよ、いつもいつも。

「左近先輩、大好きですよ?」
「うるさい!」




+++++++++
おまけ

「巷では先輩みたいのツンデレって言うんですよね」
「お前時代錯誤って言葉知ってるか?」



+++++++++
言い訳

左近のキャラが違う!…ごっごめんなさい…(土下座
保健委員って良いですね!
絶対将来美人揃いになりますよ!!笑

話の筋が決まらない内に思い付くまま書いてしまったので…
本当にヤマもオチもなくてすみません…←いつもですね!(土下座
保健委員長左近と五年乱太郎の日常的な話が書きたくて…
後輩の前では仲の良い感じの出来た先輩二人なんですが、二人きりだと左近のツンデレ発動なんです!←聞いてない
精神的には乱太郎の方がリードしてるんですが、なんだかんだでやっぱり左近を頼りにしているといい!←長い

あ、この話の二人は付き合ってます←今更設定

本当に長々だらだらと申し訳ありません…(土下座
此処まで読んで下さって本当にありがとうございました!