真夏の恋
※年齢操作未来捏造です。
苦手な方はご注意下さい。
「あっつい…」
照り付ける陽射しを受け額に浮かんだ汗を拭う。
乱太郎は兵庫第三協栄丸の元へ、学園長から預かった手紙を届けにやってきた。
今年で15歳になった乱太郎は、彼らとの付き合いも六年目である。
慣れた道程だが…
「何もこんな暑い日じゃなくても…」
溜息をつき、頭を上げればキラキラと輝く海が見えてきた。
「兵庫第三協栄丸さーん!乱太郎ですー!学園長から手紙を預かって来ましたー!」
第三協栄丸の乗る船に向けて乱太郎が叫ぶと、船の上では兵庫水軍の皆が手を振っていた。
「こんにちはー」
にへらと笑って乱太郎も手を振り返すと、船が一斉に沖へと戻って来た。
「おぉ!乱太郎!久しぶりだな!まぁゆっくりしていけよ」
第三協栄丸は乱太郎から手紙を受け取ると、船の若い衆に声を掛けた。
「おーい!誰か!乱太郎を…」
「はい!お頭!俺が!!」
真っ先に手を上げたのは網問だったが、すかさず重が網問の頭をパシンと殴る。
「お前さっき義丸さんから鉤の補修頼まれてただろ」
「うっ!でっでも!!」
「乱太郎さんは俺が」
網問を押し退け重が前に出ようとしたが、ワイワイ騒ぐ年下達にため息を着いて舳丸が口を開いた。
「重、お前もさっき鬼蜘蛛丸さんから旗の補修頼まれていただろう」
「うぇぇ…舳丸の兄貴…」
「ほら、間切、航…お前達も仕事が残ってるだろ」
「えぇー…」
「そんなぁ…」
あからさまに落胆する後輩達を差し置いて舳丸が第三協栄丸に声を掛ける。
「お頭、自分が…」
「おぉ!舳丸か、じゃあ頼んだぞ」
ニカッと笑って第三協栄丸が舳丸の背をポンと叩き、その場は解散となった。
恨みがましく後輩達がブーブー言っているが、筋金入りの体育会系、縦社会だ…先輩のいうことは絶対である。
渋々皆が仕事に戻っていくと…
「あの…お忙しい時に来てしまってすみません…お使いは済んだので、私…」
水軍達のやり取りに、反って迷惑を掛けてしまったとすっかり恐縮してしまった乱太郎に、慌てて舳丸が声を掛けた。
「いっいえ!とんでもない、たいして忙しくなんてないんで…ゆっくりしていって下さい」
お見苦しい所を…と頭をかきながら困ったように空を見上げる舳丸に、乱太郎は眉を下げて微笑んだ。
「皆さん、お元気そうでよかったです」
「それしか取り柄もありませんから、俺達」
「そんな!」
「まぁまぁ、とりあえずあちらで休んで下さい。捕れたての魚がありますから」
余り表情を変えない舳丸だが、乱太郎に対してはいつも優しく微笑んでくれる。
乱太郎は少し困ったように笑い返した。
「いつも気を遣って頂いてすみません…」
素直にワーイ!と喜べたのは低学年までで、最近ではお使いに来ただけなのにこんなに良くして貰って良いのだろうかと考えてしまう。
そんな乱太郎の気持ちに気付いたのか、舳丸は少し照れながら乱太郎を見ずに呟いた。
「皆、乱太郎さんとお話したいだけなんです、あいつらも…俺も」
「舳丸さん…」
「だからできれば、ゆっくりして行って下さい!」
乱太郎から先を歩く舳丸の表情は見えないが、ほんのりと耳が赤くなっているのはわかってしまった。
「はっはい…ありがとう、ございます」
素直に嬉しいはずなのに、照れる舳丸の姿に何だか乱太郎の方まで恥ずかしくなってしまい、小さく俯いて舳丸の後ろを着いていく。
「…」
「…」
なんとも気恥ずかしい沈黙が続き、手持ち無沙汰に乱太郎は自身の髪に触れた。
三年の後半から伸ばし始めた髪は、今では結んでいても背中でふさふさと揺れるほどになっていた。
肩に掛かっていた髪をパサリと払えば、いつの間にか舳丸がポカンと口を開けてこちらを凝視していた。
「わっ!えっ、えっと!」
わわ私何か変なことしましたか!?
と、見詰められている状況にわたわたとうろたえる乱太郎。
「いっいえ!」
舳丸はと言えばこちらも不自然にわたわたとしながら、くるりと乱太郎に背を向け歩き出してしまう。
(なっ…なんか舳丸さんといると、むず痒い…ってうかなんで私こんなにドキドキしてるのっ!?)
(可愛い可愛いとは思ってたけど…あれ<髪を払う仕草>は、反則だろ…!)
ジリジリと日差しが眩しい砂浜で、夏のせいではなくぐんぐんと上昇していく体温に、二人の足取りは自然と速くなる。
「ちょちょちょっ!ちょっと見ました!?今の!!義丸さんー…早く乱太郎くんのとこ行きましょうよー!」
「馬鹿、網問!そう思うならさっさと終わらせろ!」
「うわーん!」
そんな二人を遠目から眺める他の水軍達は、自身の仕事を早く終わらせようと躍起になっていた。
終
++++++++
言い訳
携帯サイトフリリク企画で頂いた舳丸×乱太郎でした…!
すすすすみません…舳丸の格好良さがかけらもない←
しかも網問出ばりすぎですみません…(土下座
不完全燃焼どころか火も着いていないグダグダ駄文ですみません…↓↓↓
蒼珈様!!
ステキなリクエスト本当に本当にありがとうございました(^-^)!!
此処まで読んで下さって本当にありがとうございました!