無邪気な悪意



※年齢操作未来捏造です。
苦手な方はご注意下さい。
















































太陽のような君が、決して僕だけの太陽ではない事が嫌だった。



「乱太郎ー…」
今日も今日とて不元気なろ組代表、保健委員の伏木蔵は先に来ていた乱太郎へぴたりと張り付く。
「はぁー…落ち着く…」
「どうかしたの?伏木蔵」

ぴたりと張り付かれるのは二人きりになれば毎度の事で、たいして気にした様子もなく乱太郎は伏木蔵へ話掛ける。

「んーん、なにもないよ…」
ただ乱太郎に触りたかっただけ。
と、当然の様に告げる伏木蔵に、乱太郎は「それはどうも」と慣れたようにあしらう。

乱太郎は伏木蔵に引っ付かれたまま、薬草を煎じる作業を再開させる。
伏木蔵もまた、乱太郎に引っ付いたまま、ゴリゴリという石の擦れ合う音を聞いている。

つかの間の平穏だ。

(乱太郎の側って凄く落ち着く…)
伏木蔵はそのまま目を閉じ、乱太郎の香りを吸い込む。
(甘い、匂い…薬、の臭いじゃない…)

乱太郎が抵抗しないのを良い事に、伏木蔵は今度は乱太郎の背後から覆いかぶさるようにくっついた。
乱太郎のうなじに鼻先をつけ、先程と同じように息を吸い込む。
(やっぱり、甘い匂い…)
甘いのだろうか…と疑問に思い、伏木蔵は乱太郎の首筋をぺろりと舐めてみた。

「ぅわっ!なななに!?伏木蔵!?」
突然の事にびくりとして振り返る乱太郎をよそに、伏木蔵はやはり当然の様に告げる。
「甘い匂いがするから…」
甘いのかと思って…。
伏木蔵が不思議そうに首を傾げるのを見て、乱太郎は困ったように笑った。
「甘かった…?」
「んーん、無味」
伏木蔵の答えに「だろうね」と答え、乱太郎は再び薬草を煎じ始めた。
そして伏木蔵もまたひたりと乱太郎にくっつく。

トクン、トクン、トクン…

乱太郎の心音に耳を澄ませていた伏木蔵だが、廊下からふと微かな喧騒を聞き付け、スッと立ち上がった。

「…伏木蔵?」

いきなり立ち上がった伏木蔵に、乱太郎が声を掛ける。
乱太郎が振り向いた方と逆の首筋に、一瞬チクリと痛みが走る。
「え…?」
首筋を抑えると同時にぐらりと乱太郎の視界が揺らいだ。
意識ははっきりしている。
でも、身体が痺れて動かない。
「伏木、蔵…?」
乱太郎は自身に現れた症状を瞬時に毒だと察した。
しかし、犯人であろう伏木蔵にこんなことをされる理由が思い浮かばず困惑した。
即効性のものを使用されたようで、既に舌まで痺れてきている。

「乱太郎専用だよ」

にこりと笑う伏木蔵の瞳は酷く暗くどんよりと濁っている。

「最近乱太郎と二人でいると必ず誰かが来て、乱太郎を連れていっちゃうから…」
その華奢な身体のどこにそんな力があるのか、痺れて動かない乱太郎の身体を伏木蔵は軽々持ち上げると、医務室の奥の屏風の後ろに隠すように寝かせた。

伏木蔵が乱太郎を隠し、乱太郎の薬作りの続きを始めると…

「乱太郎いるかー?」
スパンと引き戸を開いては組の団蔵がやってきた。

「乱太郎いる?」
薬を煎じる伏木蔵へ団蔵が聞けば、伏木蔵は動じた様子もなく淡々と答えた。
「いないよ…」
「あれ?今日って乱太郎が当番だろ?」
「うん、でも用事があるからって僕と交換したんだ…」

「そっかぁー…乱太郎いないのかー…」
あからさまに落胆した様子の団蔵に、伏木蔵は小さく「ごめんね…」と呟いた。

「なんで伏木蔵が謝んの?」
団蔵が首を傾げれば、伏木蔵は申し訳なさそうに笑う。
「せっかく来たのに僕しかいなくて…」
「いや!伏木蔵が居て悪い事はないから!こっちこそごめんな!」
ニカッと笑いながら団蔵が言った。
そのままくるりと伏木蔵に背を向け、「乱太郎が帰って来たら俺が探してたって伝えといて」とだけ言い残し、団蔵は医務室を出て行った。

団蔵の気配が完全に消えたのを確認すると、伏木蔵は屏風の後ろへ隠した乱太郎の傍に移動した。

「団蔵が探してたよ?」

全身が痺れ指先一つ動かせない乱太郎に、伏木蔵はにこりと笑い団蔵からの伝言を伝えた。
乱太郎は唯一動く目元に力を込め、精一杯の抗議を伏木蔵へ訴える。
「怖い顔しないで…ごめんね」
でも、と伏木蔵が続ける。

「乱太郎は誰にでも優しいから、たまには独り占め…したくなるでしょ?」
儚げな伏木蔵の微笑みは、罪悪感よりも達成感に満たされている。

同意など決してできないが、それ以外にも何もできない乱太郎はただ小さく息を吐いた。

「大丈夫だよ、身体に残るような毒じゃないから…」
くすくすと、悪戯が成功した子供の様に笑いながら、伏木蔵は乱太郎の横に寝そべり再び乱太郎へぴたりとはりつく。

「乱太郎は普通の薬じゃ耐性ができちゃってるから、頑張ったんだぁ…」
と伏木蔵は笑う。

乱太郎は困ったように笑うこともできず、たださるがまま…伏木蔵に抱きしめられていた。



「このまま、乱太郎を閉じ込められたら良かったのに…」



ニコニコと、声音も表情も変えずにそう呟いた伏木蔵に、乱太郎はそこで初めてゾクリと鳥肌が立つ程の恐怖を感じた。

伏木蔵は乱太郎を抱いたまま、幸せそうに目を閉じた。








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言い訳

ヤンデレ気味な伏木蔵×乱太郎…私の脳内では相当盛り上がっておりますが、駄文は所詮駄文で申し訳ないです…(土下座

成長ろ組って素敵だと思います。
伏木蔵はキレるとヒステリー気味になるとか…!ハァハァハァ…!!←すみません

堪りません…!!!笑
なのに不完全燃焼ですみませんでした…(土下座

此処まで呼んで下さって本当にありがとうございました!!