君だけが好きだから
※狂ってるって〜から微妙に続いてます…orz
「…鉢屋先輩っ!」
ドンッと乱太郎が鉢屋を突き飛ばす。
「私は、鉢屋先輩の気持ちには…答えられません…」
俯く乱太郎は小さな声でそう言った。
「うん、知ってるよ」
答える鉢屋の声は、飄々としたいつもの彼のものに戻っていた。
しかし乱太郎が顔を上げて見つめれば、そこには今にも泣きそうに歪んだ雷蔵の顔をした鉢屋がいた。
それは紛れも無く鉢屋自身の苦痛の表情で…
あ…っと乱太郎が手を伸ばしかける。
すかさず鉢屋は乱太郎の手を引きその小さな体をもう一度抱きしめた。
「乱太郎が私を受け入れられないのは知ってる、でも…私の気持ちは本当なんだ」
君が、好きなんだ。
独り言のように呟かれるその言葉に、乱太郎はぎゅっと手を握る。
そっと肩を離され、正面から鉢屋を見つめれば、いつも通りの不敵に微笑む彼がいた。
握りしめられた乱太郎の拳をとり、そっとその手の甲に口付ける。
「だから、忘れないで」
私が君を好きなこと。
そう言って鉢屋は乱太郎の体を開放する。
くるりと乱太郎に背を向け、用具倉庫を出ていく鉢屋を、乱太郎は何も言えずに見つめていた。
「…諦めたわけではないから」
最後に一言、鉢屋は言った。
倉庫を出ると、そこには雷蔵が立っていた。
「図書当番はいいのか?」
先に口を開いたのは鉢屋だった。
「…乱太郎くんは?」
「中にいるよ」
問い掛けを無視されたことも気にせず鉢屋は答える。
「二人で、何…してたの?」
「内緒」
ニッと笑ってごまかす鉢屋に、雷蔵はらしくなく苛々とした態度を隠そうともせずに声を荒らげる。
「三郎っ」
「乱太郎に聞きなよ」
鉢屋はそのまま雷蔵の脇を通り過ぎて行った。
鉢屋が去っても、雷蔵はその場を動けなかった。
倉庫へ駆け込み乱太郎に声をかけることも、乱太郎を置いてその場を離れることも、雷蔵はどちらもできなかった。
(きっと今乱太郎くんに会えば、自分は彼に酷いことをしてしまう…かもしれない)
「乱太郎…くん」
小さく呟かれた声は、夕暮れの澱み始めた暗がりに吸い込まれ消えていく。
握りしめた拳は、既に感覚が無くなる程に力が込められていた。
終
――――――――――
言い訳。
間章的な…(土下座
とりあえず乱ちゃんは流されませんでした。
実は書きたいのはこの後だったり。
ドロドロにしたい!←お前
鉢屋はフラれる事自体は想定済なのでこれから攻めモードに切り替わ…るといいな←希望かよ
ただ、実際に乱太郎から拒絶されたことにはショックを受けて、しまう…みたいなことが書きたかったんです(本当表現力なくてすみません…
雷蔵はどんどんぐるぐる悩んで堕ちていく…予定です。
あくまで基本短編なので、出来るだけ読み切れるような内容で書いて行きたいです。
なので全く繋がってない話がいきなり上がっていたらすみません…(土下座
此処まで読んで下さって本当にありがとうございました!