ただ、焦がれていた。



注意!
DE編欝丸さん捏造です。
風円前提ですが、カプ要素皆無です…orz

苦手な方はご注意下さい。


















































強く、なりたかった。
お前のように、なんて言ったらそれは言い訳だけど。






「君たちは弱い、だから私が君たちに力をあげよう…エイリア学園に、勝ちたいのだろう?」

俺や栗松、そして染岡、退院したばかりのマックスや少林…かつての雷門イレブンが、明らかに怪しいその男の言葉に従ったのは…ただ、そう。
男の言う通り、皆求めていたからだ。

仲間を助ける力を。
エイリア学園に勝つための力を。

「か…風丸さん、本当にいいでやんすか?こんなこと…キャプテンは」
不安そうな栗松に、俺は淡々と答えた。
「テレビで見ただろ?円堂達は今あのジェネシス達との戦いに挑もうとしてる、だから俺達がこの力で円堂達を助けてやるんだ」
心のどこかで(そんなのは円堂達を言い訳に使っているだけだ!)と誰かが叫んでいる。
少しだけ頭が痛かった。

「でも…」
さらに栗松が言い淀む。
今、自分がどんな顔をしているのかわからない。

だけど、だけど多分俺は。

「大丈夫さ栗松、俺達は何も悪くない」
(これは悪を絶つのに必要な力なんだ)

ずっと欲しかったその力を手にして。
溢れる喜びを隠しきれずに、きっと笑っていただろう。




++++++
円堂にヒロトと呼ばれていた少年、ジェネシスのグランのパワー、スピード、力、技術、エイリア学園のトップクラスの実力を改めて目の当たりにしたあの時、俺は自分の足元が真っ黒に染まって、そのままその、奈落のように暗い地面に引きずり込まれていくような…そんな感覚を味わった。

速い。
(俺が全く着いて行くことさえできないなんて)
強い。
(あの円堂が、あんなただのシュートに膝をつくなんて)
怖い。
(勝てない、勝てるわけがない…こんなの、時限が違う)
怖い。
(負けたくない、負けたくない、負けたく、ないのに)
怖い。
(今までの俺達の努力は、時間は…一体なんだったんだ)

「一点だ!まずは一点を返していこう!」
試合中、鬼道の声がした。

一点?
(無理だ、取れるわけがない)
だって、
(あの吹雪ですら歯が立たない)

「もっと強くなろう、吹雪の為に…エイリア学園に勝つために!」
「そうだ!」
「そうだな!」
「俺も賛成だ!」
試合後の吹雪の病室で、仲間達は熱い思いで結束を強めていく。
(俺を除いて)
俺は耳を塞ぎたくなった。

(なんで、なんで皆そんなに前向きなんだ)
(無理だ、できっこない、少なくとも…俺には)
ずっと自信のあったもの。
スピードだけは誰にも負けたくなかった。
技術が追いつかなくても、パワーが足りなくても、スピードだけは負けないから、それを使って道を開こうと必死に、がむしゃらに、それこそ死ぬ気で、今までだってやってきたさ!
(だけど、駄目だったんだ)

スピードで、叶わない。
パワーも、技術も、スタミナも、何もかも…俺は奴らよりも劣っている。

(これ以上なんて、できない)

なのに皆は声を揃えて「もっともっと」と言うんだ。
(おかしい、おかしいだろ?)
もう膝を付いたって良いはずじゃないか?俺はもう限界なんだ…!



(あぁ、そうか)



おかしいのは…俺、なのか。

たくさんの仲間の中にいるのに、酷い孤独感に吐き気すらした。
そして俺は一人、黙って病室を出た。






+++++++
「風丸!こんなところにいたのか!」

膝を抱えて海を見ていたら、今は一番会いたくなかった奴…円堂が俺を見つけて駆け寄ってきた。

「完敗だったな」
円堂が俺の隣に腰を下ろす。
「でもまた新しい目標ができた!」
(お前は、相変わらず…だな)

いつも太陽の様に眩しい幼なじみは、今日もまた…誰よりも前向きで、明るくて、諦めてなくて…強くて。
(…ああ、駄目だな、駄目だ…俺、今…円堂と一緒にいられない)



「…円堂、俺…もう駄目だよ」

俺の一言で、驚愕に目を見開いた円堂は、俺の肩を掴んで「もっと強くなればエイリア学園を倒せる」と叫んだ。
だけどもう、そんな円堂の声にも耳を貸す気にもなれない。

(俺じゃ駄目なんだ)
円堂が俺の肩から手を離した時、ゆっくりと俺は立ち上がる。
「風丸!?」
円堂の声が、悲しみに震えている。
こんな円堂の声は初めて聞いた。

(でも、)

「すまない、円堂…」



「俺、お前みたいに…強くないんだ」

++++++

力を手に入れた。
揺るがない確かな、確かな力を。
この力を持って円堂達を助けにいこう。

そう、思っていたのに。



「円堂達が…勝った?」
(ああ、ああ、あああああ…なんて、なんて事だろう)
テレビの生中継が、円堂達の勝利を伝える。
「…そんな、だって、じゃあ俺達は!?」
半田が叫ぶ。
「ふざけんなよっ!こんなの…こんなの俺達ただのピエロじゃねぇか…!!」
染岡が机を殴りつけた。
(そうだ…それでは俺達は何なんだ…エイリア学園に勝つために、こんな石に手を伸ばし)
「どうしよう…!キャプテンに…キャプテンがこのことを知ったら…!」
少林が泣きそうな声で言った。
(正々堂々を捨て、勝つために手段を選ばなかった俺達を)
(結局最後まで正々堂々戦って、そして勝ってしまったあいつは)

どう考えても間違っているのは俺達だ。
(だけど、)

また俺達は否定されるのか?
また俺達は駄目なのか…?
あれだけ悩んで、苦しんで、落ち込んで、ここまで堕ちてまで強くなりたかった俺達が、また駄目だったっていうのか!?

「そんなの…」
絶対嫌だ。
ぽつり、もれた俺の呟きに皆が顔を上げた。

「俺達はせっかくこんなに強くなったんじゃないか…!なぁ、皆!」
「風丸…」
「風丸さん…」
皆の瞳が、揺れている。

「証明、しようぜ?…俺達は間違ってなんか、ない」
皆の瞳が、暗く濁る。



「円堂達に勝てば、それが証明されるじゃないか」

頭のどこかでは、皆分かっていた。
結局逃げて逃げて、逃げているだけだってこと。
(だけど、俺達は…強くなりたかったんだ)
(負けたことが悔しかったんだ)
(一緒に戦えない事が苦しかったんだ)
(皆を守りたかった、チームを勝たせたかった)

(その思いまで否定されるのは、耐えられない…!)




そして俺達はかつての仲間達の前に立ちはだかる。

「円堂、サッカー、やろうぜ?」


+++++++
言い訳

えっと…もう少し風→円色を強めたかったんですが…表現力なくてすみません…orz
スーパー捏造!土下座
ただ力が欲しかった訳ではなんだと思うんですよね…皆…。
一人一人の挫折しなければいけなかった悔しさとか、絶望とか…でもそれよりもきっと皆、仲間達が円堂の事が大好きだから本当は守りたかったんです。
守りたくて、藁にも縋る思いでエイリア石にまで手を伸ばして、これでやっと戦える!守れる!強くなった!って思ったのに…エイリア学園を倒してしまった仲間達を見て…「自分達なんかいらなかった?」「なんの為に今まで俺は?」「エイリア石にまで手を伸ばしてこんなところにまで堕ちたのに」…自分達を正当化しようとして必死だったんじゃないか、そうでもしないと立ってさえいられなかったんじゃないかって…
思ったんですが伝わんねーっすね、すみません…。
とりあえず私は書けて楽しかったです!
円堂視点も書きたい!
次はもっと風円色強く!

ここまで読んで下さって本当にありがとうございました!