君のそば
注意!
アニメ99話までのユニコーン戦ネタバレありです。
ディラ円ですが、ディラ円なの?な話です←
ディランが酷い捏造です。
苦手な方はご注意下さい。
アメリカ戦の後、円堂が自室に戻るとそこにはでっかい犬がいた。
「…え、えーと」
「エンドーーーーっ」
ガタンガコンッドン!円堂が部屋に入ると同時にいきなり飛びついてきたのは、大型犬もとい…チームユニコーンのエース、ディランだった。
「お前っ!?え?ディラン!?なんで!?」
「うわーんっ!エンドー!ユーはカズヤの事聞いていたのかい!?ミーは…ミーはさっき聞いて…聞いて…うわーんっ!」
どうやら一之瀬の手術の事を先程知らされたのだろう。
円堂に馬乗りになり、うわーんっうわーんっ!と恥ずかしげもなく泣きじゃくるディランに、流石の円堂もどうした物かと頭を抱えてしまう。
「え、えーと…とりあえず落ち着けよディラン」
「おっ落ち着いて、なんて、いられないよー!うわーんっ!」
えぐえぐと泣き止まないディランの背中を円堂がポンポンと叩いて宥めていると、廊下から風丸の焦った声がした。
「円堂!?さっき大きな音がしたが大丈夫か!?」
円堂はこの状況をうまく説明しようと口を開きかけたが、まだ自分ですら理解出来ていない現状をドアの向こうの風丸に説明するのは困難だと、すぐに考え直し当たり障りのない返事を返しただけだった。
「あ、わっ悪い風丸!大丈夫だから!」
ちょっと転んだだけだから!と円堂が伝えると、風丸は安心したように「そうか、気をつけろよ」とその気配を消した。
「うっう、うう、カズヤ、うう、エンドー…うう」
あたふたとする円堂の事など気にも止めず、ディランはひたすら一之瀬と円堂の名前を呟いてぐずっていた。
そもそも何故…ディランが此処に来たのか、その時点から円堂にはよくわからないのだが、たとえ自分と同じくらいの相手であろうと、子供のように泣きじゃくられるとなんだか強くは出られない。
「一之瀬の手術の事を聞いたのか?」
「うん、うん、カズヤっき、今日の試合がっさい、最後…って」
うわーんっ!ディランの嗚咽は止まない。
「あああ…お前そんなに泣いたら」
ゴーグルが大惨事だろうに…と円堂がそっとディランのゴーグルに手を伸ばす。
しかしそれに触れる前にディランにその手を取られてしまう。
「エンドー!ユーはっ!ユーは知っていたのかい!?」
「え、いやっ………俺は偶然」
聞いちゃって、さ。
困ったように眉を寄せる円堂に、ディランは一瞬言葉を無くしたが、今度はそのまま体制を崩し、円堂にのしかかるように抱き着いた。
「ミー達はっミー達は…カズヤのチームメイトなのに」
何も知らなかったんだ…。
ディランの先程までの喚くような声音とは違う…酷く悲しそうな呟きに、円堂はなんとなく状況が掴めて来た気がした。
おそらく、試合終了後すぐに一之瀬はチームメイト達に自分の状況を伝え、病院へと向かったのだろう。
しかし、当然そんなに急に受け入れられる事実ではないはずだ。
実際、円堂だって今だ「嘘だ」と思いたい。
更にはディランは一之瀬と同じチームに居たのだ…。
明日からもう、一之瀬がチームに居ないという喪失感や、何故相談してくれなかったのだろうという憤りや切なさで、その胸は一杯だったことだろう。
そしてきっと考えてしまったのだ「一之瀬は自分には話さなかったそれを、かつてのチームメイトには話したのだろうか」…そこには恐らく小さな嫉妬と、同じ痛みを感じているかもしれない相手を無意識に求めてしまう感情があったのだろう。
「まっマークはっ…他の皆もっ、し、仕方ないって…み、ミーだけ…ミーはそんなに簡単に…」
「うん、うん…うん」
(マーク達も、無理矢理そう言って割り切るしか…できなかったんだろうな)
ディランの背を撫でながら、円堂は小さく頷き続けた。
「ディランは本当に一之瀬が大好きなんだな」
「好きだよ!み、ミーはっ!カズヤとドモンとマークと!皆でプレーしたかったんだ!」
「うん、そうだよな…」
(大好きな仲間と…一緒にサッカーがしたい…ただ、それだけなのに)
円堂自身、何度もぶつかった事のある苦しみだった。
誰のせいでもない。
運命とでも言うような理不尽な事柄が、突如襲い掛かる現実。
決してそれは他人事ではなくて、いつ自分の身に降り懸かるともしれない…そんな。
(でも、)
円堂は真っすぐにディランを見つめた。
「でもさ、ディラン…」
「?」
そして静かな声で円堂は言った。
「俺、試合終わってから一之瀬と話したんだ」
「カズヤと?」
「うん、………一之瀬、まだまだサッカーやりたいって言ってた」
「…カズヤ」
シュンとするディランの背を、相変わらず円堂は優しく宥め続ける。
「一之瀬な、絶対帰ってくるって、言ってくれたんだ」
「!」
ゴーグルは涙で少し雲ってしまっていたが、ディランは目を見開いて円堂を見つめた。
「また試合しようって約束した」
「みっミー達とまた!?」
「そりゃあそうさ!俺とまた戦いたいって言ってくれたんだ…一之瀬のチームメイトは、ディラン達に決まってるだろ?」
円堂はニッと笑った。
「だからさ、信じて…待とうな、俺達は」
円堂の笑顔が、じんわりとディランの胸を温かくする。
「…うん、うん!ミーも、待つっ!」
本当はディランもちゃんとわかっていた。
一番辛いのは、実際にサッカーが出来なくなってしまう一之瀬自身であることを。
だからこそ、ディランは一之瀬から話を聞いた時、直接一之瀬に泣きつく事が出来なかったのだ。
痛みを共有したかった仲間達は、自分よりも少し大人で…割り切れていなくても割り切ったふりをしていて、その場で自分の思いを受け止めてくれる人は誰もいなかった。
(…どうしよう)
そう思った時何故だか、たった数回しか言葉を交わした事のない、日本代表のキャプテンを思い出してしまったのだ。
(カズヤが、エンドーは何でも受け止めてくれる、凄いやつって言ってたんだ)
「凄いなエンドーは…カズヤの言った通りだ」
「え?」
「ミーもユーが大好きになったよ!」
「えっ!…なんか、はは…照れるな」
ギューっと抱き着いてくるディランに、少し戸惑いながらも、なんだか大きな犬に懐かれたような感覚しかない円堂は、ディランのしたいようにさせていた。
「エンドー!今日は泊まっていっていいかい?」
「え、ああ、うん!いいぞ!」
「イエスっ!じゃあ!じゃあ二人で沢山話しをしよう?カズヤの事やエンドーやミーの事!」
「おう!」
翌日。
寝ぼけ眼で円堂の部屋からディランと円堂が揃って出てきた事に、風丸他メンバー達が絶叫したのは言うまでもない。
終
++++++
言い訳
ディラ円です。
誰がなんと言おうとディラ円ですよ!←
一之瀬出ばりすぎで…orz
もうなんでこうイナイレキャラ達は良い子で可愛いこたちばっかりなんだ…!
本当皆大好きです!←聞いてない
なつっこいディランが書きたかったんですがキャラ崩壊しすぎですみません…(土下座
此処まで読んで下さって本当にありがとうございました!