どうしようもない



※性に奔放?な円堂さん受けです。
酷い捏造な上キャラ崩壊が酷いです。
全く幸せでない豪炎寺さんがいます。
軽い性描写があります。

苦手な方はご注意下さい。


















































本当、どうしようもない。




コンコン。

練習が終わって、食事もすませた。
もう早い奴は寝てしまっただろうそんな時間。
「…はい」
一瞬の迷いの後、ノックされた扉に向かって俺は返事をした。

「豪炎寺!入っていいか?」
ノックの主は予想通り、円堂だった。
「円堂…悪いが今日は、」
「ごーえんじ」
「…っ」
扉を開かないまま、断りの言葉を口にしようとした俺を円堂の声が遮った。

ガチャリ。

グッと拳を握りしめドアノブを回した。
そこには風呂に入って来たのかバンダナを外し、パジャマに身を包んだ円堂が微笑んでいた。
「入るぜ?豪炎寺」
「…」
何も言わずに身を引く俺に、サンキュ!と短く言って円堂が部屋の中へと入ってきた。
そのまま扉を閉めると、円堂は俺の腕を掴んで部屋の奥へと進む。
「…円堂っ!今日はっ」
「なんで?しようぜ豪炎寺」
まるでいつもと…サッカーに誘うのと同じ気安さと眩しい笑顔で、円堂が言う。

「セックス」






円堂守と言う男は、自他共に認めるサッカー馬鹿だ。
そんな事は出会った時から分かっていた事だが、その傾倒ぶりの異常さに気付いたのはずっと後になってからだった。
確かに俺や鬼道…他の皆だってサッカーが好きだった。
それこそ食事や睡眠の時間を惜しむ程に。
しかし円堂のそれは客観視した場合、至って普通に見えるのだ。
食事の時間になれば「みんな!ご飯だぞ!」と嬉しそうに食堂へ駆け込むし、夜になれば「みんなしっかり休むぞ!」と率先して早寝を心掛けている。
そんな様子を最初は意外に感じながらも、自己管理がしっかりしているのだと感心していた。

しかし違った。

円堂はただ、サッカーの事しか考えていない結果として、そうならざる選なかったのだと知った。

他愛もない会話を仲間達としていた時だ。
時間も、それこそ食事も睡眠も忘れてしまうくらいサッカーが好きだと言う話をしていたその時、円堂は言った。

「でもずっと寝なくても食べなくても、どっちみち最後はサッカーできなくなっちゃうだろ?それは嫌だよな」
俺はハッとした。
皆は「お前は本当にサッカーバカだよなぁ」なんて笑っていたけど、それは笑って流してしまってよいものなのだろうか。
今の発言はつまり…寝る間を惜しんでの練習も、食事も取らずに励む特訓も、既に円堂は限界まで行っていたということではないのか?
そこで彼が感じたのは、極限の空腹感でも、睡眠不足による疲労でもない。
限界の体に限界の精神で「これではサッカーができない」と、たったそれだけだったと言うことではないのか?

俺はその時初めて、円堂のサッカーへの執着に危機感を覚えた。
よくよく考えてみれば円堂のそれは食欲、睡眠欲ときて学校に通うことや勉強することまで、日常の全ての事がサッカーをする為に「仕方が無いこと」であり、仲間への気遣いですら、あくまでもサッカーを通しての繋がりで有ることが、円堂の中での絶対条件なのだ。
逆を言えばそれは、サッカーが無ければ全ての事に、モノに、人に…恐ろしく無関心で無頓着だという事だ。



そんな思考の行き着いた末。

(じゃあ…円堂にとって俺はサッカーをしているから価値のある豪炎寺修也なのだろうか)

そして気付いてしまった。
自分がそんな想像に絶望にも近い感覚を覚えている事に。

(サッカーがなくなってしまえば、円堂は俺のことなんて必要としなくなるのだろうか)
確かに、円堂との繋がりはサッカーから始まったが、俺も恐らく鬼道も他の皆だって…サッカーを抜きにしても、円堂と友達でいたい…いや、俺はそれ以上に円堂との繋がりを大切にしたいと、思って…。

(俺は)

既にその時、俺の中には円堂への執着にも近い好意が芽吹いていた。





俺達の関係に変化が訪れたのは、それから暫くしての事だった。
そもそも、なぜ円堂が俺にセックスを要求するのか…それも円堂のこのサッカーへ傾き過ぎた思考が原因だった。

「円堂、今日はどうした?」
部活が終わり、鍵を閉めるために部室に残っていた円堂と、漸く二人きりになれた俺は尋ねた。
「あ?ん?今日?俺なんか変だったかな?」
俺の問い掛けにキョトン首を傾げて振り返った円堂に俺は頷いた。
「なにかイライラしていただろう?何かあったのか?」
練習の間ずっと気になっていた円堂の不調。
鬼道も気にしていたが、どうやら気づいたのは俺達二人だけだったようで、本人もどうやら無意識だったらしい。
これは聞いても無駄だったかな、と俺が円堂を見つめると、円堂は少し考えてからポンっと手を叩いて俺を見返した。

「確かに!イライラしてたかもしれない!」
悪い、そんなに態度に出てたか?と苦笑して頭を下げた円堂に、俺は大丈夫だと短く言った。
「それで、原因はなんなんだ?」
「え?う、うーん…何て言うか…うーん」
「円堂…」
「あー、うん…その、ちょっと練習に集中できなくて、さ」
だから、ちょっと嫌だったんだ。
と円堂はらしくない弱々しく笑みを見せる。

「集中できない?」
「気が散るっていうか…」
「何か気になる事でもあったのか?」
「あー…うー…あの、さ…………うん、男同士だしいいよな!」
「?」
酷く言いずらそうにしていた円堂だったが、大きく頷くと真っすぐと俺を見た。
円堂の目は、どんな時でも真っすぐにボールを、相手を見据える。だからこそ円堂の言葉は真っすぐ心にも届くんだろうと思う。
そんな事を一瞬考えていたら、うっかりと円堂の言葉を聞き逃していた。

「…悪い、円堂良く聞こえなかった」
「っ!さ、流石に何度も言わされるのは恥ずかしいんだぞっ?」
ほんのりと頬を赤らめる円堂に、俺は一体何を聞き逃したのだろうと首を傾げた。

「だからさ、多分俺溜まってるんだ」
「何が」
「セイテキヨッキューが」
「………?」
今、円堂はなんと言ったのだろう。
セイテキヨッキュー?もしかしてそれは漢字で書くと「性的欲求」の…いやまさか、相手は円堂だ。何かの聞き間違え…

「ほら、溜まってるとさ…こう下っ腹のところが気持ち悪いっていうか…なんか、体調不良みたいな…あれ?そういうの俺だけ?」
(円堂が…)
俺も同じ男だし、覚えがない感覚なわけではない。だがまさか円堂からそんなことを言われるなんて思いもしない(するわけがない)し、むしろ人並みの性欲が円堂にもあった事に、口ぶりから察するに処理の仕方も理解しているらしい事に、俺は衝撃を受けていた。

(何を驚いているんだ…むしろそれが普通じゃないか)

必死に頭を落ち着かせていると、円堂の口からはさらにとんでもない言葉が飛び出していく。

「でもこれって面倒だよな」
(………………面倒、か)
円堂は心底そう思っているのだろう、困ったように笑っている。
「一人でしてもいいけど、それだとあんまりスッキリしないし、かと言って彼女とか作るとサッカーする時間が減るし、知らないおっさんとかだと面倒はないけど病気とかさ…」
あーあ、と溜息を漏らす円堂に、俺の思考は一瞬完全に停止した。

(何が…なんだ、って?)
「………お、い…円堂、お前」
「そうだ!豪炎寺!俺とセックスしないか?」

絶句。

いったいこいつの貞操観念はどうなっているんだ、いやそもそも男にも女にも慣れているようなその態度は何なんだ。
(ちょっと待て、なんでそうなる…俺と?円堂が?セッ…!?)
どう頑張っても追いつかない思考と言葉の意味を勝手に解釈して早鐘を鳴らす左胸。
「え…んどう」
(何を言い出すんだ、お前わかってるのか?セックスって…そんな、俺はお前が…だけどお前は)

「だって豪炎寺、俺の事好きだろ?」

にっこりと笑う円堂にクラクラした。
言葉を失った俺を円堂は押し倒し、そのあとはなし崩し。



「流石に挿入れさせてなんて言わないから安心しろよ!なっ!」
俺こっちの方が慣れてるし!
剥ぎ取れていく衣服と、先程とは違う淫靡な雰囲気を笑みに携えて、円堂がいやらしく俺の身体をなぞった。

「ちょっ…ま、て…円堂っ!」
取り出した俺のそれを何の躊躇もなくパクリとくわえた円堂が、目だけでニッと笑った。
「…っ!」
正直、気持ち良くないわけがない。
想い人に求められて嬉しくないわけがない。
(だけど違う、これは違う)
この行為に、円堂の気持ちは伴っていない。
(だけど、)
だけど拒める訳もない。
きっと俺が今断れば、円堂は多分鬼道や他の誰かを相手に選ぶかもしれない。
俺はぼんやりとだが、今までの思考と、現在の円堂の様子で、パニックを起こしながらも恐らくほぼ正確に円堂の真意を理解していた。
これはただの性欲処理だ。
思春期を迎えた自身の性欲ですら、円堂にとってはサッカーに集中するため、定期的に発散させなければならない事項なのだったのだ。
その為に、俺とするのがたまたま丁度良いと考えただけなんだろう。

快感に頭の隅がぼんやりと霞む。
円堂がマネージャーが置いて行ったハンドクリームを使い、慣れた手つきで自分の後ろを解かしている。
立ち上がった俺のそれに、どこから出したのかコンドームを被せて、もう抵抗もできない俺に跨がった。

「生は駄目な?明日サッカーできなくなるの嫌だし、お互いの為なんだって」
誰かの受け売りの言葉を述べて、円堂は欲に濡れた表情を隠しもせずにまたニッと笑った。

(…本当に、慣れているんだ)
俺は酷く泣きたい気分だった。
だけどゴム越しに入り込んだ円堂の中は熱くて狭くて、むしろ少し痛い位なのに円堂が「すげ、いい」なんて呟きながら腰を振るのに流されて、俺はどうしようもないほどあっさりと上りつめてしまった。

それが俺と円堂が関係を持った初めてで、俺は毎回こんなのは駄目だと思いつつ毎回流されて円堂に酔わされていた。



(ああ、なぁ、円堂…お前)
俺を誘う円堂を目の前にすると、言葉が出なくなる。
(俺は…お前が、好きだから…好きなのに)
円堂は笑う。
優しく淫靡でなんとも蠱惑的に。

「ごーえんじとするの、俺好きだぜ」
あ、んん…なんて艶めかしい声の合間に、不意打ちでそんな台詞を口にされると、もうどうしようもない。

円堂の真意とは別に、俺自身の本心も、俺は否応なしに自覚しなければいけなかった。
俺はこんな関係を頭ではずっと否定していても本当は、サッカー以外にできた唯一の円堂との繋がりを無くす事を、酷く惜しがっていたのだ。

だから、今日もまた円堂に求められるままゴム越しに円堂の中へと精を吐き出してしまうのだ。

そんな俺が一番、どうしようもない。
本当、どうしようもない。




+++++++
言い訳

グダグダ…orz
円堂くんのイメージ壊しすぎですみません…(土下座

ここまで読んで下さって本当にありがとうございました!!!